光ファイバのNAで注意すること

2021年 02月05日

  • 研究・技術
  • ファイバレーザ
今回は光ファイバのNA(Numerical Aperture)についてです。レンズにNAがあるように、光ファイバにもNAがあります。光ファイバのNAの定義については、いろいろな文献があるので、そちらをご参照ください。分かりやすいなと思ったYoutube動画をご紹介します。



レンズと光ファイバのNA
NAの考え方はレンズの場合と同様に考えて大丈夫です。つまり、光を射出する側の光ファイバのNAが、光を受講する側の光ファイバのNAより小さければいいわけです。この関係が満たされないと、光ファイバの接続点(コネクタもしくは融着接続点)で大きなロスが発生してしまいます。

MMFの融着時は特に注意
シングルモードのシングルクラッド光ファイバ(通常は単にシングルモードファイバと呼ばれます)の場合は、コアを伝搬する光の大きさ(光出力)が小さいので、光ファイバの接続点での多少の光の漏れは問題ないですが、高出力ファイバレーザーの励起用に用いるようなコア径 105 um 以上のマルチモードファイバの場合は、光ファイバの接続点での漏れ光が問題になります(熱や、後段の素子を破壊する恐れがある)。よって、マルチモードファイバ付き高出力半導体レーザー(Multimode Fiber pigtailed Laser Diode : MMF-LD)と、ポンプコンバイナ(コンバイナ)を融着接続する場合は注意が必要です。

励起用高出力LDとコンバイナ
MMFとコンバイナを光ファイバ融着接続しようとする場合、両者のコア径が同じであることに注意しないといけないのはもちろんですが、NAにも同じくらい気を付けなければいけません。つまり、基本的にはMMF-LDに取り付けられているMMFのNAが、コンバイナの励起ポート(Pump port)のMMFのNAと同じか、より小さくなければいけません。そしてさらに、同じファイバを使っていたとしても、実際のNA(実際に光が出力される分布、角度)は異なっている場合があるということにも注意しましょう。例えば、MMF-LDにNA 0.22 の光ファイバが取り付けられていたとします。A社ではNA 0.17 の角度に90 % の光出力が分布している MMF-LDがあれば、B社ではNA 0.17 の角度に 95 % の光出力が分布してるという場合もあるわけです。この違いについては、別途記したいと思います。

Author - Masanori Nishiura
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