光ファイバ部品の性能を測定しようとする際の注意

2021年 02月08日

  • 研究・技術
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光ファイバ付きのアイソレータや,光ファイバカプラの透過率やアイソレーションの測定をすることがよくあります.その際に注意していることを書きたいと思い ます.

私は,光ファイバ部品にコネクタを付けるときは必ず FC/APCコネクタを付けるようにしています.なぜかというと,万が一,端面に損傷が入っても自分で修復できるからです.FC/APCコネクタは,下記の2種類のどちらかで取り付けると思います.

(1)光ファイバ部品購入時にメーカーに取り付けてもらう
(2)こちらで用意しているFC/APCコネクタを光ファイバ融着接続

できるだけ時間をかけずに,設定中心波長が合っているかどうかや,カプラの分岐比程度の情報(各ポートへの透過率ではなく,透過率の比率)を知りたい場合は前者の(1)をお勧めします.もし,ご自身で光ファイバ融着接続器を用いてFC/APCコネクタを取り付けることができ,できるだけ正確に光ファイバ部品の性能を測定したいときは,後者の(2)をお勧めします.※コネクタを自分で取り付ける方法もありますが,手間がかかるのと,これから記す理由があるのでお勧めしません.

 

なぜ光ファイバ融着接続でFC/APCコネクタの取り付けを推奨するか?

私は,ほぼFC/APCコネクタしか使わないので,FC/APCコネクタについてだけの話になってしまいますが,FC/APCコネクタはアダプタ使用時の締め付けによってアダプタ部分の損失(通常は 0.3 ~ 0.5 dB)が変化します.締め付けが強ければいいというわけではなく,キツく締め付けた後に,スカスカにならない程度に緩めると損失が最小になることがあります.「なることがあります」としているのは,損失がどうなるかはFC/APCコネクタに依るためです.経験上,FC/APCコネクタは全て幾何学的に同じではなく,フェルールの端面が少し反っているいる場合もあれば,フェルール部が長い場合があり(フェルールの形状も一つではありません),どのように締め付けるのかによって,光学的な違いが出るためです.

フェルール形状が異なるFC/APCコネクタ

フェルール形状が異なるFC/APCコネクタ

よって,できるだけ正確に光ファイバ部品の特性を測定したい場合は,実験システムにおいて,広帯域光源に差し込む光ファイバパッチコード,光スペクトラムアナライザに差し込むFC/APCコネクタなど,終始同じFC/APCコネクタを使うのがいいです.そして,できるだけFC/APCコネクタを抜き差ししないことです(するとしても,同じ締め付けにする).

光パワーメータの使用

また,光ファイバ部品の挿入損失を測定するときは,できれば後で光パワーメーターを使うこともお勧めします.この時に注意しないといけないのは,広帯域光源をそのまま使わないことです.広帯域光源を使ってしまうと,光ファイバ部品の波長依存性の影響(光ファイバパッチコードの場合はOK)が色強くでてしまいます.

サーキュレータの使用

リターンロスも気になる場合は,光源と被測定対象の間に光ファイバサーキュレータを挿入しましょう.



Author - Masanori Nishiura
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