フューズド型WDMカプラの波長依存性

2021年 02月08日

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波長分割多重ファイバカプラ(Wavelength division multiplexing fiber coupler : WDM coupler, 以降,WDMカプラ) には,光ファイバを溶融してうまいことすることで造るフューズドWDMカプラ(Fused WDM coupler)と,光波長フィルタを用いるフィルタ型WDMカプラの2種類があります.ここでは,前者であるフューズドWDMカプラの波長依存性例を示します.

WDMカプラ波長依存性

WDMカプラ波長依存性

 

透過率の波長依存性
上図は1030nm と 976 nm に最適化した2x1のフューズドWDMカプラの透過率を,横軸を波長(nm),縦軸を透過率(%)と挿入損失(dB) にして示しています.この図から,WDMカプラには大きな波長依存性があると分かります.フューズドWDMカプラを使用するときは,この特性をしっかりと理解しておかないと,予期しない高出力光でファイバコネクタ端面やフォトダイオードなどを壊してしまう可能性があります.

WDMカプラの特徴
WDMカプラで重要なのは,「切り分けたい波長の最大透過率(最小損失)」だけではなく,どれだけ「いらない波長を排除できているか」の2つです.2つ目をアイソレーション(Isolation)と言います. この場合,アイソレーションは 25~30 dB @976 nm, 1030 nm となります.もし,ファイバレーザーを構築していて,フューズドタイプのWDMカプラでアイソレーションが低いと感じた場合は,バンドパスフィルタ(Bandpass filter: BPF)を追加するなどの工夫が必要です.もしくは,最初から光波長フィルタを用いたWDMカプラを用います.

フューズド型WDMカプラの利点は,本当のオールファイバで構成されており,光パルスによる損傷閾値が高いことです.対してフィルタ型WDMカプラは,高エネルギーパルスに対する損傷閾値が低い可能性が高いので(実際に破壊したことがないのと,CW 数Wに対応するフィルタ型WDMカプラがあり,実際にNALMファイバレーザー内部でフィルタ型WDMカプラを使っている例があるので,「可能性」としています),共振器中でジャイアントパルスが発生してしまう場合には,フューズド型WDMカプラの使用が適していると思います.



Author - Masanori Nishiura
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